宇宙基本法の必要性
日本のこれまでの宇宙の開発や利用は、宇宙科学などに限定、特化していました。これは、宇宙開発が文部科学省、総務省、経済産業省、国土交通省など、それぞれ別個に実施されてきており、また日本で唯一の宇宙航空開発、研究を行う機関である宇宙航空研究開発機構(JAXA)が文部科学省の下に置かれていたからです。そのため日本の宇宙活動の大部分が、宇宙科学研究や衛星、ロケットの開発などの科学技術の開発になってしまっていたのです。しかし、最近では私たちの身近な生活のなかで、GPS(全地球測位システム)を利用したカーナビゲーションシステムや衛星放送、陸域観測技術衛星による災害監視など、宇宙用に開発された技術がさまざまに活用されるようになってきました。
そこで一般民間企業が宇宙産業に参入する環境づくりが必要とされたのです。宇宙基本法には研究開発の成果を円滑に事業化することで産業の競争力を強化していくことが明記されています。
また「国家戦略」として宇宙の開発や利用に関する施策を総合的、計画的に進め、国民生活の向上や経済発展への寄与、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献するために、宇宙基本法が制定されたのです。
宇宙技術の民間利用
人工衛星などの宇宙インフラは日本は外国に大部分を依存しています。そのために、一定の制約があったり、長期的な利用計画が立てにくいなどの不都合がありました。これが、宇宙基本法の制定により、宇宙産業が活性化すれば、宇宙技術の民間利用もより進み、充実していくことが予想されます。例えば、より精度の高いカーナビや専用回線を使った携帯端末への災害の連絡、ショッピングモールやイベント会場での携帯電話を使った音声ガイドなどが検討されています。
宇宙の平和利用について
宇宙の平和利用について1967年の国連宇宙条約は、宇宙空間での大量破壊兵器の設置を禁止してします。この規定では、宇宙空間は地上と同様に、自衛権の範囲内の防衛的な利用であれば平和利用の範疇に入ると解釈されてきました。しかし日本では、1969年の国会決議で、宇宙の平和利用とは、非軍事利用を意味することとしました。そのため、自衛隊が防衛目的で人工衛星を利用することは許されないことになっていました。これが今回の宇宙基本法では「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり」との文言が条文に明記されています。この意味するところは、安全保障分野での宇宙の開発や利用については、「専守防衛」「集団的自衛権の不行使」「文民統制の確保」を堅持するということで、防衛目的で、自衛隊が人工衛生を持てることとなりました。
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